“位置情報”をマーケティング活動に活かす—Near社 猪谷久様インタビュー

 2016.01.07  adtech管理者

アドテクを中心として広告業界のトレンドについて発信をする『DAC AD TECH BLOG』。今回は先日AudienceOneとの連携のリリースを出させていただきました「Near」のリージョナルディレクター 猪谷 久(いのたに ひさし)さまへのインタビューをお届けします。会社の概要から提供されているサービス、今後の展望までお話いただきました。

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アジアを中心に位置情報をベースとした広告サービスを展開

はじめに、Near社について教えてください。

猪谷:弊社は元々「AdNear」と名前で2012年に創業し本社はシンガポールにあります。アドテクの企業というと北米の企業が多いかと思いますが、弊社はシンガポールを中心に東南アジアの市場を開拓し発展してきた企業です。開発の拠点はインドのバンガロールにあります。こちらでプロダクトの開発と運用を行っています。サービスの提供エリアは、香港・インドネシア・オーストラリアと展開し、日本には2014年10月に拠点を置きサービス提供を開始しています。現在はロンドンにも拠点を開設して、ヨーロッパにも進出しています。北米にも拠点はありますが、R&Dやプロダクトマネージャー・データアナリストなどがいる場所になります。

「Near」でどのようなサービスを展開しているのでしょうか。

猪谷:Nearは位置情報をベースとしたプラットフォームを活用したサービスを展開しています。メインの活用方法はDSPによる広告配信になります。一般的なDSPですとターゲティング手法としては、サイト内の行動履歴が中心になるかと思いますが、Nearでは「どこの場所にいたか?」という情報を元にターゲティング配信を行うことが出来ます。
位置情報の取得方法としては、配信先のアプリが利用規約で同意し、取得したものをエクスチェンジ経由で受け取っています。またGPSだけではなく基地局やWi-Fiのシグナル情報をマッピングして位置情報の判定の補足材料にしています。

活用しているデータは、他サービスと比較し特徴などあるのでしょうか?

猪谷:いえ、Nearで活用している位置データは特別なものではありません。基本は先ほどお話した通りエクスチェンジが送ってくる位置情報をベースにしていますので、一般的な情報です。

データの活用方法、という観点でいくと、他のサービスとの違いはどこにありますか?

猪谷:そうですね。位置情報を元にしてリアルタイム配信(その場所にいる人に広告を配信)が可能というのは出来るサービスは他にも増えてきていますが、Nearは過去のデータも持っていることが特徴です。この過去データをベースとして、クライアント毎にニーズに合わせて、自由度高くカテゴリ(セグメント)を作れるのは他にはない特徴かと思います。

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集めた位置情報はどのようにセグメントされているのでしょうか?

猪谷:Nearでは位置や行動をベースにして、その人を特定しています。例えば、頻繁に映画館周辺でアプリを起動している人がいる場合、その人は映画館に良くいく「映画好き」であろうと仮説を立て、映画愛好者としてセグメント登録を行っています。

データセグメントの作り方、という観点で工夫されていることはありますか?

猪谷:過去のデータも所持しているということは特徴ではあるのですが、時間が経過すると過去に作ったセグメントは意味のないものになってしまうかもしれません。ですから、今後リリースする予定の新システム「Allspark」では、定期的にリフレッシュを実施し新しい情報に保てるようにしています。例えば、先ほども例にも挙げました映画館のセグメントに関しては、取得時点でアプリを起動していたスマートデバイス端末が1ヶ月経つと新しい機種に買い替えられているかもしれませんよね。そうすると1度構築したセグメントでも価値が無くなるものもあるため、定期的にリフレッシュできるようになっています。

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※ALL spark 管理画面

クライアントのニーズに合わせて、セグメントを作成

ルール設定、セグメントはどのくらい作っていらっしゃるのでしょうか?

猪谷:基本的なものは作ってはいるのですが、正直なお話、日本で引き合いのあるクライアントの場合は、既存で用意しているセグメントを使うというよりも、クライアントそれぞれのニーズに合わせて作成したものを使用するというケースが圧倒的に多いんですね。
ですので、選べるセグメントを事前に多く用意しておくというよりも、クライアントのニーズに合わせて自由に容易に作成できるようにしている、という方が正しいかもしれません。

位置情報を活用した広告配信は、どのようなキャンペーンとの相性がよいのでしょうか?

猪谷:認知拡大を目的としたキャンペーンとの相性がよいのではないかと思っています。「チラシなどでリーチ出来なかった人に対してアプローチしたい、」とか、「交通広告やOOHなどと同時出稿で効果を高めたい」といったオフラインメディアを絡めたご相談は多いです。

なるほど。では具体的な利用ケースとしてはどのようなものがあるのでしょうか?

猪谷:そうですね。例えばチラシなどと絡めてという観点でご相談が多いのは、特定の沿線にお住いの方にアプローチをしたいというケースです。この場合、頻繁に沿線の駅や住宅地でアプリを起動している人をセグメントすることが可能です。電車の中にいる人や沿線住人を特定してアプローチが出来ることがNearとしての強みです。また店舗をお持ちの広告主様の場合ですと、自社の店舗近くでアプリを開いた履歴のあるユーザーを抽出して店舗来店の可能性がある人のセグメントを作成することもできます。

そこまでピンポイントに抽出できるのですね。では特定のイベントへの参加者、という区切りも可能なのでしょうか?

猪谷:そうですね、可否で申し上げると可能です。ただ実際過去に取り組みとして行ったことはあるんですが、あまりうまくいかなかったですね。ターゲットがあまりにも狭すぎたのかと思います。
プランニングの際は、たしかに狙っているターゲットだけに絞れればいいのですが、位置情報の誤差や情報を取得する期間をあまりしぼりこんでしまうとものすごい小さなセグメントになるので、ターゲットユーザーが含まれると思われる範囲内で、ある程度ラフにエリアや位置情報取得期間の設定を行なったほうがいいかと思います。

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キャンペーン実施には、どの程度の母数が必要なのでしょうか?

猪谷:そうですね、20,000~30,000以上のUUはあった方がよいかと思います。もちろん、キャンペーンの規模感にもよりますが、最低でも10,000は必要かと思います。

データのプラットフォーマーとしてクラウドで事業を広げていく

今後の展望についてお知らせください。

猪谷:方向性としては2軸あります。1つ目はマーケティングの専門家のパートナーと一緒にお客様毎にカスタマイズした環境を売っていきたいということです。自社のみではトータルのプランニングは出来ませんので、そこはプロの方に入って頂いて、一緒にサービスを展開していければと考えています。

また、2つ目ですが、広告配信のみならず、CRMやなど他のマーケテティングツールと連携して使えるように製品の開発を進めていく予定です。「All spark」に関しても、来年からパートナー様経由での広告主様への提供を予定していますので、DSPでの配信に留まらず、様々な形で活用していただける「モバイルファーストオーディエンスクラウド」として展開していきたいと考えています。社名を「AdNear」から「Near」に変更したのも、そのような思いからです。

最後にメッセージをどうぞ。

猪谷:弊社の製品は位置情報を活用して、従来のデジタル広告の効果指標にとらわれず潜在顧客を探すことを可能にするプラットフォームだと思います。デジタルだけではなく、リアルなど他のメディアも含めたところで広告会社様との連携を深めていきたいと考えています。

猪谷さま、ありがとうございました。

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