初めての『SQL』に挑戦ーGoogle プロダクトを用いたデータ活用人材育成|TSI×D.Table part1

 2023.10.19  デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社

世の中はDX(デジタルトランスフォーメーション)の真っ只中で、どの企業もデジタル化が強く求められています。デジタル化によって得られたデータを正しく取り扱い正確にデータ分析を行うだけではなく、得られた結果を活用する「データ人材」が必要なことは言うまでもありません。

本連載では、データ人材の育成にいち早く取り組んできた多数の人気アパレルブランドを展開する株式会社TSIホールディングス(以下、TSI)のデータ活用人材育成の取り組みと挑戦を、TSIのご担当者様の生の声を踏まえ、前・後編にわけてご紹介します。
アパレル業界に限らず、様々な業種の皆様にとって有益な情報が詰まった事例になっております。

前編では、TSIのデータ活用戦略を統括する竹山健司さんと竹山さんが率いるチームに所属する広告やメール施策を担当するメンバー(菊地さん・片岡さん・嘉手川さん)と、取り組みを一緒に進めているDAC内プロジェクト「D.Table」の担当である渡辺と今栄よるデータ分析支援のインタビュー内容をお届けします。

TSIプロフィール_第4弾前編

TSI_第4弾プロフィール_DACV2
※本文中の敬称略

なお、過去3回にわたってご紹介しているTSI様との取り組みレポートは以下よりご確認いただけます。ぜひ、併せてご覧ください。

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データ人材育成の狙い

- データ人材育成について引き続きD.Tableにて支援させて頂いていますが、今回のプロジェクト実施に至った背景を教えてください。

TSI竹山:プロジェクト開始時TSI内にて組織変更があり、TSI内の各ブランドの広告施策を担当するメンバーに加えて、接客ツールであるKARTEやMA(マーケティングオートメーション)を活用してメルマガ施策を担当してきたメンバーが、新たに私の部に所属する形になりました。まずは彼らに対しても、データ分析の知見をもってもらうことが重要だと考えていました。

KARTEやMAを用いたデータ分析においても、共通してSQLを使用することでアプローチはできると思っていたので、本プロジェクトを通じてSQLの知識を体得し、データ分析と活用を内製化、スピード感をもって施策検討を行えるようになることを目指して、D.Tableへ相談させていただきました。

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- 以前より、教育やトレーニングを重視しインハウス化に注力されていましたが、改めてその目的を教えてください。

TSI竹山:3点あると考えています。1点目は「分析と施策、効果検証をスピード感をもって対応するため」、2点目は「自社に知見を蓄積していくため」、3点目は「セキュアな環境下でデータを取り扱うため」です。

お客様の個人のデータ分析する際、匿名加工を施して外部に分析を依頼するなどの対応もできるかと思いますが、慎重に慎重を重ねて取り扱う必要があります。そう考えると、自社で内製化し、分析を行う方がより良いと考えています。

初めて触ったSQLー受講前の心境

- 今回のプロジェクトから参加いただいた片岡さん・嘉手川さんは、プロジェクトが始まる前どういった心境でしたか。

TSI片岡:普段使用しているツールはノーコードで分析を行うもので、自分自身でSQLを記述する分析は初めてでした。また、今回実施した「時系列予測分析」「クラスタリング分析」は、言葉自体初めて聞くものだったので、不安を感じていたというのが正直な心境です。また、すでに以前からやり取りをされている広告チームとの間に理解度の差があるのではないかという点も懸念していました。

TSI嘉手川:私はTSIに入社したタイミングと同じ時期に、本プロジェクトに参加させていただきました。前職ではSQLを用いた分析等に関わってこなかったこともあり、周りについていけるのか不安な気持ちが大きかったです。

-今回の分析を進めるにあたって、どういった点に期待があったでしょうか

TSI竹山TSIは多くのブランドを保有している会社になり、CDPにも多くのブランドのデータが蓄積されています。将来的に各ブランドを横断して分析を行い、親和性のあるブランド同士での施策検討ができればよいと考えておりました。今回の分析ではその最初のステップとして、Mix.Tokyo(JILL STUART、NATURAL BEAUTY BASIC、HUMAN WOMANなどのブランドが集めたブランド)にて、クラスタリング分析を行い、その結果を広告配信施策として活用し、ブランド横断施策の足掛かりになればと思いました。

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支援の進め方と実施にあたり注視した点ーD.Table

- 肝となるデータ分析支援はどういった形で行ったのでしょうか?

D.Table今栄:データ分析の支援については、データの基礎分析からモデル作成までの一連の流れを理解していただくことが重要と考えていました。1つ1つ一連の作業を説明し、データ分析をするうえでの注意点や要点をインプットさせていただき、TSIの皆様には実際にコードを書くというアウトプットをしてもらいながら、交互に繰り返しながら進めました。また、内製化のための理解とその理解の定着のために、毎回のレクチャーを動画に撮影し、いつでも振り返り学習などができるような工夫も行いました。

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- 実際の分析において難しい点はどういったところでしょうか?

D.Table今栄:2つあったと考えています。

1つは、TSIのトレーニングメンバーの足並みを揃えて内製化していくことです。TSIの皆様の理解の取りこぼしが無いようにということ、説明が難しくなり理解度にばらつきが出てしまわないようにという、当たり前のことですが、レクチャーを進めるときに気を付けました。

もう1つは、機械学習の結果の読み解きです。TSI様が取り扱っているMix.Tokyo に対してクラスタリング分析を行い、その結果に対して、GA(Google アナリティクス)データを用いて補足をしたり、DBで比較しやすいように可視化したり工夫が必要でした。

 

トレーニングを終えて

- トレーニングを受けてみての率直な感想を教えてください

TSI菊地:私は以前のプロジェクトから参画しています。今回のプロジェクトにおいても、TSIの実データを使用してレクチャーをいただいたので、大変理解が深まりやすかったです。以前のプロジェクト時から、自分のスキルがレベルアップしていることが確認でき、自信につながりました。また、レクチャーの動画を録画いただいているので復習として利用しやすいという点もありがたかったです。

TSI片岡:SQLのトレーニングを受け、自分自身で施策検討を行う機会が増え、非常に為になりました。今回のプロジェクトで行ったクラスタリング分析と時系列予測において、変数を変更したり、あるいは変数を追加したりして、自分の気になる分析にチャレンジしたいと思っています。

TSI嘉手川:プロジェクトが始まる前は不安な気持ちが大きかったですが、SQLの考え方や分析の方法など、詳細に資料にて説明いただいたので、大変分かりやすかったです。不明点が出てきた際にも、一度立ち止まって説明いただいたので、焦らず理解を深めることができたと思っています。週次のレクチャーの中で、必ず前週の復習から入るという点も大変良かったです。

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- 今回のデータ分析研修を踏まえて行った施策や検討中の施策を教えてください


TSI菊地Mix.Tokyoにてクラスタリング分析を行い、同じクラスターに含まれるブランドの中で、同クラスター内の他ブランドの広告を配信し、購買が促進されるのか検証しました。具体的には、ナノ・ユニバースの商品購買ユーザに対して、親和性があると判断された、HUMAN WOMANやFREE'S MARTの広告を出稿しました。結果としては、通常配信と比較してROASやCPAはよくはなかったもの、CTRが高く、CPCも安価に集客ができており、新規ユーザ獲得には活かせたのではと思っています。

TSI片岡:プロジェクトで学んだことを生かし、KARTE上でSQLを用いてデータ分析を行い、2カ月に1回ほどの頻度で施策を実施していました。これから行いたい分析としては、クラスタリング分析にて、データをブランドではなくコーディネートのスタッフデータに置き換え、スタッフ間の親和性を分析し、スタッフのレコメンドができればと思っています。

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- 今回のプロジェクトによって、どういった知見を残すことができたでしょうか。

TSI竹山:新たに私の部に所属することになったメンバー含めて、SQLの基礎を理解できた点、また、TSIのCDP上に蓄積されているデータを用いた分析を行うことで、自社データの理解も深まった点は非常に良かったと思っています。

時系列予測分析・クラスタリング分析に共通してですが、予測モデル作成にあたっての、変数の選択や作成の仕方、作成されたモデルの精度確認や再検討の必要性など、データアナリストとしての考え方を理解できた点は、今後の分析においても意味あるものだと思っています。

 

まとめ

今回は、TSI様に実施したデータ活用人材育成の取り組みについての前編をご紹介しました。新規に竹山さんのチームにジョインしたメンバーを中心に初めてSQLに取り組みましたが、研修を終え、順調に業務に活かしていかれているようです。

後編では、既存で所属していたメンバーが「Python」に挑戦したレポートをお届けします。
後編はこちら>>

また本取り組みをご覧になり、ご興味をお持ちいただいた方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問合せください。

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