2023年7月1日をもって、ついにユニバーサル アナリティクス(以下、UA)無償版のサポートが終了しました。皆様、無事にGoogle アナリティクス 4(以下、GA4)への移行はお済みでしょうか。
GA4への移行は完了しているものの、「参照元/メディアのレポートで計測されるはずのutmパラメータが書き換えられてしまう」という事象が起きて困っていませんか?実はこの事象は、Google広告等のGoogleの広告プロダクトに搭載される「自動タグ設定」の影響によるものです。
本記事では、そもそも「自動タグ設定」がどのようなものかを解説介しつつ、utmパラメータが書き換えられてしまう事象の対処法をご紹介します。
自動タグ設定とは
Google広告等の「自動タグ設定」とは、広告クリック時の遷移先URLに自動的にパラメータ(GCLID/DCLID)を付与し、広告主の1st パーティクッキーを使用した広告の成果計測を行うための設定です。
この設定を有効にすることにより、Apple社の ITP(Intelligent Tracking Prevention)の制限下においても広告クリックから24時間以内のCV計測を精緻に行うことができるというメリットがあります。
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自動タグを利用する(ONにする)際の流れは以下の通りです。
▼自動タグONの設定方法
・Google Ads:アカウント設定 > 自動タグ設定> 「ユーザが広告クリック時にアクセスするURLにタグを設定する」にチェックをつける
・DV360:デフォルトで自動タグが有効
自動タグ設定によるutmパラメータへの影響
自動タグ設定をONにすることで、UAおよびGA4での計測時に source / medium / campaign に自動的に固定値(固定されたパラメータ)が反映されます。
GA4においては、自動的に反映されたこの固定値は手動パラメータ(utmパラメータ)よりも優先度が高いため、GA4の各種トラフィックソースのレポートでは固定の値が計測されます。
(例)
• 自動タグ設定がONで、かつGA4とGoogle Ads連携している場合
source:google ※固定値
medium:cpc ※固定値
campaign:Google Adsの管理画面で設定されているキャンペーン名
• 自動タグ設定がONで、GA4とGoogle Ads連携していない場合
source:google ※固定値
medium:cpc ※固定値
campaign:手動パラメータの値
(参考)入稿URL:www.sample/?utm_source=google_ad&utm_medium=displayとしたときのURL / パラメータ対応表
※1:自動タグの影響範囲について:Google広告の自動タグの影響範囲は、Google関連の媒体にのみ及びます。
o 影響あり:Google関連の広告メニュー(GoogleAds、DV360、SA360、Googleリスティング広告、GDN、YouTube広告等)
o 影響なし:Google以外の広告メニュー(Yahoo!やSNS等)
UA利用時には起きなかった事象が発生しているワケ
■UAに存在した自動タグの「オーバーライド設定」
従来のUAには、プロパティの設定に「オーバーライド設定」というものがありました。これは、広告プロダクト側で自動タグの設定がONの状態でも、広告の入稿URLに設定した手動パラメータを優先して計測を行うことができるようにするための機能です。
本設定を行うことにより、広告プロダクト側の固定値を手動で設定した値に上書きし、意図した計測が出来ました。
参考:(設定方法:UAの管理>プロパティ設定>詳細設定の「Google 広告と検索広告 360 の統合で、手動タグ設定(UTM 値)による自動タグ設定(GCLID 値)のオーバーライドを許可する」にチェック)
■GA4には自動タグ設定のオーバーライド設定がない
一方、GA4ではプロパティの設定項目として「オーバーライド設定」がありません。そのため、自動タグ設定を ON にしていると、GA4のレポートでは手動パラメータ(utm パラメータ)の値が反映されず、自動パラメータで記録されてしまいます。
自動タグが影響しているのであれば、「自動タグをOFFにしてしまえば、utmパラメータがそのまま記録できるので、問題が解決するのでは?」と思いますよね。
しかし、自動タグはCV計測の補完機能を持つため、OFFにすることでCV計測の欠損に繋がるというリスクが生じます。そのため、自動タグをOFFにすることは推奨していません。(また、そもそもDV360ではデフォルトで自動タグが有効となっています。)
GA4で意図した値を計測するための対処法
では、従来のUAで計測されていたように、意図した値を計測させたい場合はどうしたら良いのでしょうか。
その対処法としてDACでは「自動タグによって書き換えられないパラメータを用いて、計測したい情報を計測する」という方法推奨しています。
source / medium / campaign に自動的に固定値が反映されますが、GA4でも手動パラメータが優先される項目がありますので、その値を活用する方法です。代表的なものには「utm_content」「utm_term」などがあります。
下記の表では、書き換わってしまうutm_sourceの値をutm_contentにも設定して、分析等に利用できるようにしています。
▼各パラメータ対応のGA4ディメンション一覧
各utmパラメータがGA4ではどの指標で確認できるかを、以下一覧にまとめました。
※2:GA4でUAと同様の指標を確認したい場合は、各指標3つずつある中で「セッションの〇〇」をご確認ください。
具体例:UAで「参照元」を見ていた場合、GA4では「セッションの参照元」を見る。
(UAはセッションベースの計測であるのに対し、GA4ではイベントベースの計測であるためです。)
まとめ
今回ご紹介した内容のまとめは以下の通りです。
- Google広告で自動タグをONにした際、一部のutmパラメータは計測されない(自動タグ設定の値が優先される)
- GA4には自動タグ設定のオーバーライド設定がない
- 対策としては、utm_contentなど手動の値が使えるパラメータの活用を推奨
今回ご紹介した内容は、あくまでも現時点(2023年8月)の情報です。GA4は日々機能のアップデートがあるため、今後仕様が変わる可能性もあります。
既に、source/medium/campaignの手動パラメータを見れるようになるディメンションが追加されるというロードマップも発表されているようなので、更新情報を楽しみにお待ちください!
DACでは、Webサイトの特性に合わせてGA4 をご活用いただけるよう、導入・運用等のサポートをしています。また現在、GA4活用に関する無料相談会を開催中です!「使い方がわからない」「うまくGA4を活用できるようになりたい」等ございましたら、お気軽にぜひご相談ください。