データベースだけでなくマーケティングの向上も支援―日本オラクル東様、高森様インタビュー

 2015.04.23  adtech管理者

アドテクを中心として広告業界のトレンドについて発信をする『DAC AD TECH BLOG(アドテクブログ)』。今回は、日本オラクルの東様・高森様にお話をお伺いしました。特に近年力を入れられているマーケティング領域のソリューション、「Oracle Marketing Cloud」についてマーケティングオートメーションを中心にお話いただきました。

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市場の動きに合わせて「マーケティング領域」にも注力

はじめに、貴社がどのような事業を展開されているのかをお伺いさせてください。

弊社は、世界で初めて商用リレーショナル データベース ※1 を発売した会社で、データベースというものを基幹としてハードウェアやソフトウェア、そしてソリューションといったサービスを通じてお客様のビジネスを支援している企業です。

最近は「クラウド」という分野に対しての投資を強化しています。SaaS 分野では、顧客経験 (カスタマーエクスペリエンス)、人事、ERP(業務ソフトウェア)と、ラインナップを増やしています。自社開発以外にもM&Aで揃えており、特にマーケティングの領域に関してはグローバルで市場が伸びてきていますので、マーケット リーダーとして特に注力している状態です。特に「マーケティング」に関しては、市場でも最近非常に注目されています。

※1: 複数のテーブルをつなげて、高度な分析などが実現出来るデータベース。

マーケティングの領域に注力された理由はなんでしょうか?

こちらは買収戦略の話にはなりますが、まず「クラウド」というのが大きな括りではありますが、CRMのコアのところは「Oracle Sales Cloud」で SFA (営業支援システム) の前の領域に対しての投資をしていこうとしています。弊社で展開をしているマーケティング用サービス 「Oracle Cross-Channel Marketing 旧名称 Eloqua(エロクア)」 は SFA と連動させることで一貫できるようになるからです。

他にも競合は多く存在していますが、プライベートDMPの「Oracle DMP 旧名称BlueKai(ブルーカイ)」をラインナップとして揃えることによってマーケティング領域のクラウドサービスとして強みになる、と考えています。導入後のサポートを含めて、導入企業様のカスタマーエクスペリエンスを高めること、一貫したメッセージを出していくためのラインナップを揃えるために投資を行っています。買収するだけでなく、それを自社のサービスとしてお客様に満足いただくためにカスタマイズを行い、一気通貫できるようにラインナップし、「Oracle Marketing Cloud」 を顧客中心のマーケティングの向上を支援する製品群として提供しています。

「Oracle Cross-Channel Marketing」はマーケティング・オートメーションのソリューションになるかと思いますが、そもそもマーケティング・オートメーションとはどういったものになるのか改めて教えてください。

「マーケティング・オートメーション」は、一連の購買のプロセスの中での購入の可能性があるお客様に更に興味を持ってもらうことや、興味をもってくださったお客様にパーソナライズドしたコミュニケーションを可能にするソリューションです。企業のマーケティングの活動において、お客様の興味関心、検討ステージに合わせて必要な情報を届けることができるよう、手作業で対応していたところを自動化します。また、一連のマーケティング活動をデジタル化し可視化していくものになります。

これまでは独自にそれぞれでやっていた顧客になる可能性がある人を育成し、リードナーチャリング※2を、システムを使ってやっていくというところですね。

そうですね。「Oracle Cross-Channel Marketing」をご提案する際はファネルの考え方をベースにお話をしています。セールスにおけるファネルの精度をどうあげていくのか?この部分をきちんと可視化するプロセスがあるのです、という形でご紹介をしています。

※2:見込み客に対して、アプローチを段階的に行い、徐々に購入意識を育てていくこと。

御社ではマーケティング・オートメーションの仕組みを実現させるツールとして、「Eloqua」の他に「Responsys」もお持ちですが、2つのサービスの違いについて教えてください。

どちらのサービスも「マーケティング・オートメーション」のツールになりますので、大枠での導入目的は同じです。ブランディングとして、クロスチャネル・マーケティングという形でご活用いただいています。その中で、業種や展開されているサービス内容によってどちらの方がより相性が良いか、という形で使い分けていただいています。一番分かりやすいところでいうと、「Eloqua」は営業担当者、人を介して最終的にクロージングにつなげていくサービスと相性がよく、「Responsys」は人を介さずにWeb上で完結するサービスで導入いただく、といった棲み分けになっています。機能としても、それぞれの用途に合わせて必要とされる機能が充実している形です。

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「Responsys」に関しては、メール配信に対して強みを持っているのが1つの大きな特徴です。買いものカゴに残ったもの (買いものカゴの放棄) をリプライする機能や、メール配信のA/Bテストも可能になっています。また、配信する内容に関してシナリオを設定できたり、コンテンツの中身をターゲット毎に変更したりすることも出来ます。1時間で400万通といった、大量のメール配信にも対応しています。

米国では既に「マーケティング・オートメーション」の仕組みを取り入れている企業が増えてきていますが、日本も今後は増えていくと思われますか?

はい、日本もこれから各社で導入が進み、市場が成熟していくと考えています。「Responsys」をご検討されるようなeコマースの事業者様ですと、各種マーケティング施策をかなり色々とやられているところが多いですね。部分的にはどんどん最適化は進められているのですが、それぞれでもうこれ以上出来ることがない限界、つまり、部分最適化はやり尽くしてしまい、「さてどうしようかな」 と感じて、次のステージにいかなければいけないと考えていらっしゃいます。そういった中で、部分最適化されていたものを統合、つまり全体最適化をしなければならない、という課題にぶつかったところでマーケティング・オートメーションの仕組みを導入いただいている形です。

そのお客様に、より魅力的な商品やサービスをご購入いただく、という観点ではお客様中心にしていかなければいけないという根本的な問題がありますので、その「お客様中心にしていく」プロセスの中でマーケティング・オートメーション化が進んでいくだろうと考えています。また外資系の企業の場合では、「グローバルでは実施しています」という話は多くあり、日本法人でもグローバルの取り組みと合わせて始められる企業も増えています。

B2Bに関してはどのような状況なのでしょうか。

B2BはこれまであまりROIと言われていなかった人たちが「もっとシビアに営業やマーケティングの成果を可視化する必要がある」という風に、皆さん変わり始めている状況です。2年前にご提案に行っていた際は「そんなの必要なの?」という話で終わってしまったことも多く、マーケティング部門がない場合や、あったとしてもその部署で予算を取りづらかった、という状況もありました。しかし、今は問い合わせが増えてきており、市場が盛り上がってきていると感じています。

弊社もB2B向けのソリューションを多く扱っていますので自社ツールを導入してマーケティング活動を行っていますが、お客様に対するメッセージをしっかり考えてお送りすると、開封率が格段に異なってきます。

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マーケティング・オートメーションを取り入れて、大きな成果を得られた事例にはどの様なものがありますでしょうか?

はい、たとえば国内外の企業信用調査・市場調査を中核として事業を展開されていらっしゃいます「東京商工リサーチ様」においては、顧客企業に展開しているメールマガジンに対して導入いただいているのですが、メールの開封率が導入からごく短期間で導入以前の15%から19~20%まで上昇したという結果が出ています。また、計測出来たデータに関してはスコアリング・モデルに反映されて活用されていらっしゃいます。

メールマガジンの開封率を上げるために導入されたということでしょうか。

その点もありますが、「誰が、いつ、どのリンクをクリックしたか」といったような様々な指標を取得して営業促進につなげていきたいというニーズがありました。「東京商工リサーチ様」では既にメール配信システムはご活用されていて、従来支店や担当者ごとにバラバラに行っていたメール配信プラットフォームを一本化されるという取り組みはされていました。ただし、この配信システムでは把握可能な指標が「開封率」程度でした。そのため、その先の営業促進へつなげることが難しく、弊社のツールをご検討いただいた形です。「東京商工リサーチ様」が扱われている企業情報が持っている属性情報との親和性が高く、また弊社ソリューションがすでに企業データベースにつながるコネクタを提供していることもあり、相性がよいだろうということで、弊社のソリューションを採用いただきました。また導入により新たに可視化される指標が増えましたので、この情報をスコアリング・モデルに反映させご活用いただいている状態です。

なるほど。他にはどのようなことが、導入の決め手となっているのでしょうか?

いくつかあるのですが、まず企業の中で発生している問題の1つとして、マーケティングチームが見込み顧客となりうるリストを集めるものの、リストの質が悪くて、営業が使えないと言って売りに行かないという話しは良くあると思います。この問題を解決するためには、リストの質を高める必要があります。導入いただく 1つ目としては、質を高めるための前工程をどのようにするのか?という観点がまずありますね。

また、営業を行う際の勝率はどんなに工夫してもこれ以上は上がらない(限界値に近い)というラインがあり、また顧客単価を上げるにも限りがあります。そこで商談数を増やさなくては!となるのですが、商談数を増やすにはどうしたらいいのか、新規開拓でやるだけのことはやっていて限界だと感じている。そこでこのような場合の打ち手として導入を決めていただいているケースが2つ目としてあります。最終的には「どれだけ売上に貢献しますか?」という観点で導入を決定いただいています。

導入いただくにあたり、今まで貴社がご苦労された事はどういった点になりますでしょうか?

コスト削減という観点もありますが、基本は売上を増やすための先行投資になりますので、KPI決めが一番難しいですね。こちらは現場の方だけでなく、責任者の方を含めて進めていくところになります。欧米だとCMOがいる企業が多いこともあり話が進みやすいのですが、日本ですとそういったポジションにあたる方は少ないため、時間をかけてお話をしています。ご提案の際は、「売上が30%あがるので、投資しましょう!」といったような話をさせていただいたりしています。実際に 30% 上がるのであればツールの費用は微々たる投資ですが、最初のうちは 「本当?」 と言われることは多いですね。我々がそういった部分に対してサポートをしっかりしていく形になります。

また、KPIを決めていく際にお客様に決めていただこうとすると、なかなか話が進まないということがあります。お客さま自身が経験のない世界ですので、「こういうKPIにすべきです」「こういう組織にすべきです」という形でご提案をし、我々が自信を持って引っ張って行く必要があります。

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IT部門とマーケティング部門との連携、といったところもハードルとなりそうな印象がありますが、そちらはいかがでしょうか。

そうですね、ITチームが関与しなくても導入が出来てしまう側面はありますので、マストでIT部門の方にというよりもITをわかっているマーケティング部門の方に入ってもらって一緒に進めていく、ということが重要です。ペルソナの定義をどういった風にするのか、クラウドだけでは出来ない世界に対して、マーケティング部門とIT部門で協調・連携しながらやっていく必要があります。営業部門の人にも入ってもらう場面も出てきます。ここまではリードを広げるからここからはお願いね等、パスの渡し方や基準というところも含めて考えなければいけない世界です。

ですので、マーケティング・オートメーションは部門間で連携して取り組んでいく必要があります。そして、取り組んだ結果は部署を横断して共有できる成果として表れてくるものとなります。その一端が、先日の Oracle Cloud world にて導入いただいた企業様などからもご紹介させていただいている事例です。

今後、DACにご期待される役割に関してお教え下さい。

御社の強みで言うと、より上流からお客様をガイドしていただくというようなところでしょうか。ツールをインプリするというところではなく、それをどういう形に運用していくのか、どういうセグメントがいいのか、どうやってKPIを計っていくのか、どうやって営業部門と連携していくのがよいのか。第三者的に説得など、組織の枠組みや縦割りの状況を替えるところもあったりはしますので、外部のコンサルティングとしてやっていくことを期待しています。

また、マーケティングは欧米では進んでいるところはありますので、システム連携、機能連携といったところが出来るともっと強みが出てくるのではと考えています。簡単には出来る話ではありませんが、言うがやすしの世界をつなげていくということが必要です。上位層とコミュニケーションを取って、こっちはこっち、そっちはそっちという形ではなく、全体観として捉えていただきたい。その動きを一緒に取っていければと思います。

東様、高森様ありがとうございました。

今回ご紹介した内容にご興味を持っていただいた方は、以下よりお問い合わせください。

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