いま話題!トラッキング規制の正体とは ~プライバシー保護に向けたAppleとGoogleの取り組み~

 2021.11.02  デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社

 昨今、世界中でインターネット上における「ユーザーのプライバシー保護」の潮流が拡大しています。

このプライバシー保護に向けた取り組みは、各国の法律による法的な規制とAppleを始めとしたプラットフォーマーが推進するブラウザ・デバイスによる規制の二種類に大別できます。中でも、後者のブラウザ・デバイスによる規制についてはiPhoneのトラッキング防止に関するCMが記憶に新しいのではないでしょうか(アプリケーションを擬人化し、ユーザーが店で買い物をするたびに店員が後を付け、ユーザーがiPhone上でトラッキングの同意拒否をすると後を付けてきていた店員が消える、というもの)。

 このようにブラウザ・デバイスによる規制は既に実施されており、企業の対応も急務であるといえます。そこで今回は二つの規制の中でもブラウザ・デバイスによる技術的な規制と、それによる影響についてご紹介をいたします。

 

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AppleとGoogle、それぞれの取り組み

Appleの取り組み

 Appleは企業によるユーザーのデータ収集、およびそのデータを利用したトラッキングを制限する仕組みをブラウザとアプリの両方で実装しています。

ブラウザでの取り組みはITP(Intelligent Tracking Prevention)と呼ばれ、Apple OS上で起動する全ブラウザに適用されたトラッキング防止機能、つまりブラウザに保存されるユーザー情報であるCookieを無効化する機能のことを指します。
ITPは2017年から断続的にアップデートを繰り返しており、最新のバージョンにおいてはJava script由来の1st party Cookie(※1)は発行から7日間で無効化され、Java script由来の中でも広告経由の1st party Cookieは発行から24時間で無効化されます。また、3rd party Cookie(※2)は全て即時無効化されるようになっています。

また、アプリケーションでの取り組みはATT(App Tracking Transparency)と呼ばれ、App store内アプリのトラッキングにおいて、Appleデバイスに割り振られた広告識別子(IDFA)の利用を制限するフレームワークのことを指します。利用制限の内容はアプリ提供企業がIDFAを取得するにあたって、ユーザーに対して明示的な同意を取ることの義務化です。これによって同意を取得できないユーザーも一定数出てくることから同意を拒否される確率が上がり、IDFAの利用もこれまで以上に難しくなっています。
このATTは2021年4月にリリースされたiOS14.5から導入されています。

※1 1st party Cookie:「訪問しているWebサイトのドメイン(ホスト)」から直接発行されるCookieのこと
※2 3rd party Cookie:「訪問しているWebサイトとは異なるドメイン(ホスト)」から発行されるCookieのこと

 

Googleの取り組み

 Googleも、ユーザーのデータ収集、およびそのデータを利用したトラッキングを制限する取り組みをブラウザで行うことが発表されています。しかし、Appleと異なる点として、Googleはアプリケーションにおけるトラッキング防止には着手していません。

Googleのブラウザでの取り組みは、Googleが提供するブラウザであるGoogle ChromeおよびChromium開発ブラウザ(※3)における3rd party Cookieの廃止です。この規制はまだ導入されておらず、2023年後半を目途に適用される見込みです。
また、この規制によって影響があるCookieは、3rd party Cookieのみとなっています。

※3 Microsoft Edge、Vivaldi、Sleipnir、Lunascape 、SRWare、Iron、Blisk 等

 

両社の取り組みの比較

 AppleとGoogleの規制とその影響を、ブラウザ・アプリケーションで分けて、以下の表に整理しました。

 

ブラウザ・デバイスによる規制の影響

 では、前述の規制に対して、企業はどのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
AppleとGoogleによるデータ規制の影響は大きく「広告配信における影響」と「効果計測における影響」の二つに分けて考えることができます。
 なお、以下に挙げる整理は、あくまで従来型の方法、つまり3rd party CookieやIDFAに依存した方法への影響の整理です。影響を最小化するための対応手段については別途次回に言及いたします。

広告配信における影響

この領域で大きな影響を受けるものは、3種類あります。

①3rd party Cookieを活用した行動ターゲティング
 3rd party Cookieに依存した行動ターゲティングにはDSPやアドネットワークを利用した広告配信、つまりGDN(Googleディスプレイネットワーク)やYDA(Yahoo! ディスプレイ広告 運用型)等が該当します。DSPやアドネットワークを利用した広告配信は、広告と配信ターゲットとのマッチングキーに3rd party Cookieを利用しているため、ターゲティング可能なID(3rd Party Cookie)の総量が減ることによりターゲティング広告のimpressionも減少する、といった影響が予測されます。

②サイトリターゲティング
 サイトリターゲティングの仕組み自体が、自社サイトに設置したリターゲティングタグから発行された3rd party Cookieをもとにした広告配信であるため、サイトリターゲティングもimpressionが減少する、といった影響が予測されます(※4)

③アプリエンゲージメント広告
 これはiOSに限定された影響となります。広告識別子(IDFA)の制限によりアプリケーションを通して企業が得られる情報が少なくなります。つまり、DSP・アドネットワークと同様にターゲティング可能なIDの総量が減ることによってターゲティング広告のimpressionが減る、といった影響が予測されます。

広告配信領域における影響の有無についてメディア・ターゲティング手法別にまとめたものが下記の図になります。

※4 FacebookやTwitter等のクローズドなプラットフォーム、つまりWalled Gardenを始めとする一部のメディアは1st party Cookieを用いた対応策を代替措置として提供しています。

 

効果計測における影響

この領域で大きな影響を受けるものは、3種類あります。

①コンバージョン計測
 コンバージョン計測は企業サイトのコンバージョン地点に埋め込んだタグから生成される3rd party Cookieに依存しているため、メディアを問わず難しくなると考えられます。Facebook等の一部メディアにおいては1st party CookieやAPIを利用した代替手段も実装されています。

②ビュースルー計測
 これは企業の広告を見たがその場ではクリックせず、その後広告経由ではなく自然流入でサイトに来たユーザー、または検索したユーザーを計測する手法になります。この際にリファラを利用した流入元の特定ができないため、広告をクリックせずに流入してきたユーザーが広告を見たのかどうかを判別するには、3rd party Cookieが必要になっております。そのため今回の規制によってビュースルー計測もメディアを問わず原則不可能になると考えられます。

③アプリのインストール計測
 これはiOSに限定された影響となります。これまで計測に活用していた広告識別子の利用がユーザーの許諾制になることで、計測できる絶対数が大きく低下すると考えられます。

効果計測領域における影響の有無についてメディア・ターゲティング手法別にまとめたものが下記の図になります。

 

まとめ

 今回の記事をまとめると、大きく3つのポイントになります。

✓Appleによるデータ規制
 ・ブラウザにおけるJava script由来の1st party Cookieに対する、7日間の利用期限設定
 ・ブラウザにおける3rd party Cookieの即時無効化
 ・アプリにおける広告識別子活用のオプトイン(許諾制)化

✓Googleによるデータ規制
 ・2023年に施行予定である、ブラウザにおける3rd party Cookieの廃止

✓制限を受ける主な場面
 広告配信領域
 ・DSPやアドネットワークを利用した3rd party Cookieによる行動ターゲティング
 ・ほぼすべてのメディアにおけるサイトリターゲティング
 ・Apple OSにおけるアプリエンゲージメント広告

 効果計測領域
 ・あらゆるメディアにおけるコンバージョン計測
 ・あらゆるメディアにおけるビュースルーサイト訪問計測、およびビュースルーサーチ計測
 ・Apple OSにおけるアプリインストール計測

 本記事では、ブラウザ・デバイスによる技術的な規制について、ご紹介しました。次回はこれらの規制に対する具体的な対応手段をご紹介しますので、ご期待ください!

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